天井に取り付けられるアネモ型吹出口ですが、特にオフィスなどでは「風が体に直接当たる」「風量を自分で調整したい」と感じている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、アネモ型吹出口の風量を調整する方法についてご紹介し、制気口や吹出口の種類と特徴についても触れていきます。
風向・風量調節は簡単にできるものばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
制気口について
まずは制気口について説明していきましょう。
天井や床などにある空調ダクトの末端には「制気口」と呼ばれるものが取り付けられています。
空気を室内に吹き出す吹出口と、空気を排出する吸込口の総称のことで、空気を循環させ快適な室内にするための設備です。
吹出口と吸込口
「吹出口」は、調節された温度や湿度を室内へ送り込みます。
空調の目的や使用場所に合わせたりデザイン性で選べたりと、吹出口にはさまざまな種類があります。
「吸込口」は、室内の空気を建物の外や空調機へと戻すためのものです。
フィルターを設置することで、ほこりも除去できます。
吹出口の種類
吹出口にはさまざまな種類があることをお伝えしましたが、具体的にはどのようなタイプがあるのでしょうか。
吹出口には主に以下の6種類があります。
1.床置き型吹出口
2.システム・グリッド天井用吹出口
3.ライン型吹出口
4.ノズル型吹出口
5.ユニバーサル型吹出口
6.アネモスタット型吹出口
ひとつずつ特徴を見ていきましょう。
【種類別】吹出口の特徴
1.床置き型吹出口
床から空調空気を出す床置き型の吹出口です。オフィスフロアや映画館などに設置されています。
2.システム・グリッド天井用吹出口
システム天井とグリッド天井用の吹出口で、窓面に向かって風を吹き出すこともでき、室内全体に吹き出すことができるのが特徴です。
3.ライン吹出口
線状の吹出口で、羽根が固定されているものや可動するもの、また複数の羽根を持つタイプがあります。
設置場所はさまざまですが、オフィスの窓際、玄関や工場のエアーカーテンなどとしても設置されています。
4.ノズル型吹出口
ノズル型は、気流到達距離が長いことが特徴です。
風を遠くまで送れるので、体育館やホールなど広さのある場所で使用されています。
また特定の場所に向けた空調として、飲食店の厨房や工場などでも使用される吹出口です。
5.ユニバーサル型吹出口
吹出口と室内換気用の吸込口の両方で使用されるタイプです。
羽根を動かして風向きや到達距離を変えられます。
6.アネモスタット型吹出口
天井に取り付けられた吹出口で、放射状に空気が広がるのが特徴です。
商業施設やビルなどさまざまな場所で広く使用さているタイプで、「アネモ型」とも呼ばれています。
コーンの上下により気流を変えることが可能です。
アネモ型の風量を調整する方法は3つ
制気口の種類を主に6つご紹介しましたが、オフィスビルなどで普段よく見かけるのが6つ目の「アネモスタット型吹出口」です。
通称「アネモ型」と呼ばれる吹出口は、丸型と角型の2種類があります。
天井に取り付けられており、オフィスの席や飲食店の座席によっては「風が直接当たって気になる」という人も多いかもしれません。
アネモ型は以下の3つの方法で、風向きや風量の調節ができます。
①中コーンを上げ下げする
②ダンパー(シャッター)の開度を調整する
③ファンを取り付ける
ひとつずつ見ていきましょう。
中コーンを上げ下げする
まずは、中コーンを夏と冬で上下に調整して風向きを変える方法です。
アネモ型の吹出口には「中コーン」と呼ばれるものがあり、これを上下させることで風向きが変えられます。
本来は夏と冬に合わせて調整しますが、あまり知られていないことも多く、年中同じ向きになっている場合があります。
冷房を使う夏は中コーンを下げましょう。
冷房の空気は重いため、コーンを下向きにして水平方向に風を吹き出し、冷気を拡散させるのです。
反対に暖房の空気が軽い冬は、コーンを上向きにして垂直方向に風を吹き出し、床まで暖かい風を送ります。
オートタイプのアネモ型であれば、自動で中コーンを制御してくれますが、オートタイプでない場合は、冷房と暖房の切り替え時に中コーンの上下を忘れず行うことが必要です。
ダンパー(シャッター)の開度を調整する
2つ目は、ダンパーの開度によって風量調節を行う方法です。
アネモ型吹出口の中コーンを取り外すと、奥にダンパー(シャッター)と呼ばれる羽根があります。
このダンパーの調節ネジをドライバーなどで回転させ、適度な開度にすることで風量の調節が可能です。
調整された風はダクトを通じて室内に送られますが、ダンパーが完全に閉まっている状態だと室内まで届きません。
ダンパーを適切な開度にすることで風量調節が行えます。
ファンを取り付ける
最後は、吹出口にファンを取り付ける方法です。
ファンをアネモ型吹出口に取り付けて羽根をトルネードさせ、室内の空気を撹拌させます。
これにより室内の温度差を減らせ、直接風が当たるのを防ぎます。
吹出口自体を調整しても温度の感じ方は人それぞれ異なり、また座席によっても変わるものです。
また電気代の削減や省エネにもなり、取り付けをする際にも電気工事が必要ありません。
吹出口の調整を行っても風向きや風量の調整がうまくいかない場合は、ファンを取り付けることもひとつの方法です。
まとめ
アネモ型吹出口の風量調整について3つの方法をご紹介しました。
冷房と暖房の切り替え時には中コーンを上下させて風向きを調整し、ダンパーの開度を調節することで風量の調整ができます。
吹出口の調整をしても難しい場合は、ファンを取り付けることも有効な手段です。
アネモ型吹出口は商業施設やオフィスビルに設置されており、わたしたちにとって身近なものです。
快適な室内の空調バランスのためにも風量の調整方法を知り、適切な室内環境を保ちましょう。