排煙ダンパーとは何かご存知でしょうか。
この記事では、排煙ダンパーの役割や仕組み、構造について解説していきます。
排煙ダンパーの基本的な知識や設置の必要性を理解していきましょう。
排煙ダンパーとは
排煙ダンパーは建物を防火するための構造システムの一翼を担うダンパーです。
通常時は閉鎖されており、火災発生時などの非常時に開く仕組みになっています。
対して、防煙・防火ダンパーと呼ばれるダンパーは火災によって煙が発生し煙感知器が作動すると、連動してダンパーが閉じて煙をブロックする仕組みになっています。
排煙ダンパーの役割
排煙ダンパーの役割は建物を防火し、火災による被害を抑えるための仕組みの一翼を担う設備です。
排煙ダンパーを設けることが望ましい点は、建築基準法施行令第126条の3に定められていますのでルールを確認してみましょう。
建築基準法施行令によると、「排煙口には手動開放装置もしくは煙感知器と連動する自動開放装置または遠隔操作方式による開放装置により開放された場合を除き、閉鎖状態を保持し、かつ、開放時に排煙に伴い生ずる気流によって閉鎖されるおそれのない構造の戸、またはそれに類似するものを設置する必要がある」と書かれています。
少しわかりにくいですが、ここでいう「排煙口には手動開放装置もしくは煙感知器と連動する自動開放装置または遠隔操作方式による開放装置により開放された場合」が排煙ダンパーの設置を指しています。
排煙ダンパーの仕組み
排煙ダンパーは火災などによる熱や煙を感知する機器に連動し、感知器から電気信号を受けて開放されるか、感知器の作動により手動で開放作業を行い、開放して煙を排出する仕組みになっています。
排煙ダンパーの方式
排煙ダンパーの復帰方式には主に手動復帰式と自動(遠隔)復帰式があります。
作動は手動ワイヤー式の操作を行うか、制御盤からの電気信号により瞬時に開いて排煙ファンが動き、排気が始まる仕組みです。
自動(遠隔)復帰式は、モーター復帰式とも呼ばれ、遠隔で電気式排煙口開放函の操作や制御盤より復帰、いわゆる開閉がなされます。
排煙ダンパーの構造
排煙ダンパーは単独で建物の防災を担うのではなく、防火ダンパーなど複数のダンパーや防火に関する装置と一体化して、火災や煙による被害の拡大を防ぎます。
設置位置としては、防火ダンパーの壁面上部設置のスリット式、または天井内などの排煙ダクト端末かダクトの間に設置されるのが一般的です。
なお、防火ダンパーは防火設備の重要な役割を担う装置となっています。
火災の発生により排気ダクト内の温度が上昇すると、それを感知してダクト内の延焼拡大を防ぐために自動的に閉鎖される仕組みの弁です。
換気設備のダクトなどが準耐火構造の防火区画を貫通する構造となっている建物においては、防火ダンパーの設置が義務となっています。
排煙ダンパーにもさまざまな種類があり、防火区画を貫通する排煙ダクトに取り付け、温度ヒューズを取り付けることで防火機能を兼ね備えた防火機能付き排煙ダンパーもあります。
まとめ
排煙ダンパーは、防火ダンパーなどとともに建物の火災による被害拡大を防止する役割を果たします。
熱や煙を感知すると弁が開いて、煙を排出する仕組みです。