空調ダクトは、人間が建物内で快適かつ安全に過ごすために欠かせない設備です。
ですが、よくわかっていないという方も多いのではないでしょうか?
実は、空調ダクトはいろいろな種類があり、それぞれ機能や役割も異なっているのです。
本記事では、各空調ダクトの特徴やダクトの種類などについて、わかりやすくご紹介していきます。
空調ダクトとは
最初に、空調ダクトがどのようなものなのかについて見ていきましょう。
そもそもダクトとはどんなもの?
ダクト(Duct)は、簡単に説明すると、「空気の通り道」のことです。
日本語では、「風道」や「風導管」などとも呼ばれています。
建物の換気、排煙、空気調和などを目的として、建物の内外に取り付けられている設備です。
人間が建物内で快適に過ごすために欠かせない設備
空調ダクトは、オフィスビル、ショッピングセンター、学校、病院など、いろいろな建物に設置されています。
建物内に新鮮な空気を取り込んだり、反対に建物内の熱を外へ排出したりする役割を担っているのです。
もしも、建物に空調ダクトが一切設置されていなかったら、どうなるのでしょうか?
建物によっては室内の空気が循環されなくなるため、空気がよどんでしまい、気分が悪くなってしまうかもしれません。
また、循環がなければ夏場はすぐに熱がこもってしまい、建物内に居続けることが難しくなってしまうことでしょう。
空調ダクトは、人間が建物内で快適・安全に過ごしていくうえで、欠かすことのできない非常に大事な設備なのです。
空調ダクトの種類
大きく分けると、「SA」と「RA」の2種類があります。
「SA」と「RA」のどちらも空気を入れ替えて、新鮮できれいな状態をキープする目的で用いられています。
病院の手術室、食品工場や精密機器工場でのクリーンルーム、コンサートホールなどにも、「SA」や「RA」が必ず設置されているのです。
では、「SA」と「RA」が一体どんなものなのかについて、さらに詳しく見ていきましょう。
SA(Supply Air)
「SA」は、「Supply Air」の省略系です。
「Air」は「空気」、「Supply」は「供給する」や「補充する」などの意味を持つ言葉です。
日本語では「空気を供給する」という意味になります。
空気調和機によって温度や湿度を調整した空気を室内へ運ぶため設置する装置のことを「給気(SA)ダクト」と呼んでいます。
RA(Return Air)
「RA」は、「Return Air」の省略形です。
「Return」は、「戻す」や「返却する」などの意味を持つ言葉です。
日本語では「空気を戻す」という意味になります。
室内の空気を空気調和機に戻して、循環させるために設置する装置のことを「還気(RA)ダクト」と呼んでいます。
「角ダクト」と「丸ダクト」
空調ダクトは、いろいろな形状のものがあり、用途や設置場所によって使い分けられています。
大きく分けると、「角ダクト」と「丸ダクト」の2つのタイプがあります。
1.角ダクト
その名前の通り、四角い形状をしているダクトのことです。
「矩形ダクト」とも、呼ばれることもあります。
複数の角があることで抵抗が大きくなってしまう点がデメリットです。
そのため、低速ダクト用として利用されています。
低速ダクトとは、ダクト内の風速が15m/s以下であり、静圧(空気の圧力)が490Pa以下のダクトのことです。
ただ、四角形は底面が平らになっているため、設置する際に収まりやすいというメリットもあります。
比較的大きなサイズが多いのが、角ダクトの特徴です。
2.丸ダクト
円形や楕円形など丸まった形状をしているダクトのことです。
小さなものから大きなものまで、いろいろなサイズがあります。
角がまったくないため、抵抗が小さくスムーズに空気を流せるという特徴があります。
そのため、高速ダクトでも多く用いられています。
高速ダクトとは、ダクト内の風速が20m/s以下で、静圧が490Pa以上のダクトを指します。
強度を持たせるために板状の鋼材をらせん状にぐるぐると巻き上げて形成したものは、スパイラルダクトと呼ばれています。
オーバルダクト
オーバルダクトは、丸ダクトをつぶしたような形をしています。
角がなく底面が平らな形状をしているため、抵抗が小さく、収まりも良いというメリットがあります。
フレキシブルダクト
フレキシブルダクトは、蛇腹構造となっているのが特徴です。
比較的自由な方向へ曲げやすいため、複雑な構造の建物へも設置しやすいのが利点です。
また、蛇腹構造によって、振動や騒音をある程度抑える効果もあります。
継手(つぎて)
ダクト同士を結合するために使われるものを継手と言います。
継手は、ダクトとほかの機器を接続する際にも用いられています。
継手には、「T管」、「Y管」、「エルボ90°」、「レジューサー」などいろいろな形状があります。
T管やY管
「T管」や「Y管」は、アルファベットの「T」や「Y」の形状をしています。
先が分かれているため、空気を分岐させたいときに利用されています。
エルボ90°やエルボ45°
「エルボ90°」や「エルボ45°」などは、90°や45°の角度が付けられています。
これらの継手を使うことで、直線的な形状から、曲がりを付けることができます。
レジューサー
「レジューサー」は、サイズが異なるダクト同士を接続したい場合に用います。
ダクト1本だけだと、建物形状によっては設置が難しくなってしまいますが、これら継手を使い分けることによって、経路を分岐することや空気の向きを自由に変えることができるのです。
まとめ
今回は、空調ダクトの種類や特徴などについて、ご紹介いたしました。
大まかに分類すると、空気を室内へ運ぶ「SA」と室内の空気を空気調和機へ戻す「RA」の2種類があります。
どちらも、私たちの生活に欠かせない大切な装置であり、病院の手術室や工場でのクリーンルームなどでも用いられています。
空調ダクトは、四角形、円形や楕円形、オーバル型など形状もさまざまです。
また、ダクト同士を接続したり、空気の流れる方向を変えたりするために、「T管」、「Y管」、「エルボ90°」などの継手も用いられています。
このように、一口に空調ダクトといってもいろいろな種類や形状があるのです。
設置する際には、建物の形状や利用目的などを考慮して、最適なものを選びましょう。