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毎日多くの人々が利用している大型施設での空気環境を整えているのが空調システム、その中でも冷暖房機能をコントロールしているのが「VAV」です。
本記事では、そんな現代社会になくてはならないVAVの選び方や各メーカーおすすめ商品の特徴などを紹介します。
VAVとは
VAVとは「variable air volume system」の略で空調システムのひとつです。
可変風量方式とも言われています。室内負荷(温度差)に応じて空調ダクトに流れる風の速さをセンサーで測り、送風量を変化させます。
ダンパーの羽根を開閉させて風量を調整し、冷暖房能力をコントロールする空調方式です。
室内温度を設定温度に合わせるため、送り込む風量を多くしたり少なくしたりして室内温度を一定に保ちます。
この時、送風機はセンサーで計算した最低限の総風量で調整することにより空調の無駄を無くして省エネを図れるため、多くの大型施設で導入されているのです。
VAVの3つの選び方
VAVには様々な特徴や機能、スペックがあります。
設置場所に適した信頼性の高いVAVの選定が、後々の効率の良い稼働や省エネ効果にも繋がっていきますので、選定方法をしっかりチェックしていきましょう。
VAVの選び方には主に次の3つのポイントが挙げられます。
選び方1.タイプや用途
VAVには主に丸型と角型の2タイプがあります。
メーカーにより、「丸型小風量タイプ」「角型大風量タイプ」「厨房用タイプ」など用途により分かれているため、設置場所に適したタイプを選定していきましょう。
選び方2.最大風量の設定範囲とユニットサイズ
各VAVには標準の風量から最大風量の表が記載されています。最大風量を選定することでユニットのサイズが決まります。
選び方3.基本仕様とオプション
風速センサーの種類(プロペラ型など)、外部出力信号の仕様を確認しましょう。
ベースユニットか消音ボックス付きユニットかなど、希望のオプションまで仕様をしっかりチェックして選定します。
おすすめのVAV5選
各メーカーのVAVには様々な特徴があります。そんな数ある製品の中から、目的の設置環境に適した製品を選定することが重要です。
そこで、おすすめのVAVメーカー商品を5つご紹介しますのでぜひ参考にしてください。
おすすめのVAV1.空研工業株式会社 丸型電子式VAV
空研工業株式会社のVAVは高い気密性と追従性に優れていて、その精度の高さで絶対的な信頼を得ています。
全開に対応した仕様を標準採用し、わかりやすいLEDによる開度表示に定評があります。
信頼性の高いプロペラ式風速センサーを採用して塵埃の影響が少なく、耐久や追従性を高めた製品です。
また、コンパクトな設定器で簡単に風量設定の変更ができるのも人気の理由です。
多彩なモニタリングが可能で、アラーム出力や多点設定、運動制御にも対応している製品を作り出しています。
丸型電子式VAV
■特徴
- 本体内面にストッパーやパッキンなどの突起をなくした低圧損型(丸型)
- 羽根の先端に専用パッキンを取り付け、高い気密性を保持。全開時の漏気を少なくして、空調ロスを大幅にカット
- 簡単な風量設定。ダクトサイズと必要な風量から風速を求め、その風速を設定器(オプション)で入力するだけ
- 多彩なモニター機能(オプション)設定器で、計測風速や要求信号、強制開閉などの外部信号入力状態をモニタリングできるためテスターなどの測定器が不要。また、全開閉信号の入力、アラーム内容といった内部の状態もモニタリング可能
■仕様
- 電源電圧:AC24V±10%(標準 AC100V±10%(オプション) 50/60Hz
- 消費電力:4VA(駆動部1台の場合でDCCの消費電力は含まず)
- 送風温度範囲:0~60℃(ただし氷結および結露しないこと)
- 静圧範囲(差圧):丸型 20~500Pa(消音ボックス付:50Pa~) 角型20~800Pa(消音ボックス付:50Pa~)
- 本体材質:標準 溶融亜鉛めっき鋼板 オプション SUS製・ガルバリウム鋼板
- 塗装(オプション):塩ビ樹脂塗装・エボキシ樹脂塗装
おすすめのVAV2.協立エアテック 変風量ユニットVAV
さまざまな空間に広範囲に対応するVAVを多数製造しているのが協立エアテックです。
1995年、従来にないメカニズム「可変多孔羽根」を搭載した変風量ユニット VAV・CAVを開発。
空調時に発生する空気の偏流を防止し大幅な低騒音化に成功しています。
また、2種類(ホットサーミスター・ウインドミル)センサーを採用し、正確な風量感知を可能に。
さらに空調ユニットシステム・ファスと組み合わせることにより最高の空調状態を創り出しています。
■特徴
丸型・小風量タイプ
- ウインドミルセンサーは磁気センサー(ホールIC)、軸、軸受けをケースに内蔵させることにより、耐蝕性、耐久性が向上
- 軸受けに“ボールベアリング”を使用。新規に開発した可変多孔羽根の採用により、騒音の原因であるカルマン渦の発生を最小限に抑え、低騒音に。
- 風速センサーや制御装置など非常にコンパクトな設計
- 可変多孔羽根やコンパクト設計の風速センサーにより、圧損を低減
角型・大風量タイプ
- L寸法を400に押さえ、厳しい施工にも対応しやすい
- 内外部気密、高静圧型、耐蝕、OA、浴室換気仕様などさまざまな特殊仕様に対応
- ウインドミルセンサーの搭載により、より正確な風量制御を実現
おすすめのVAV3.クリフ株式会社 高速VAV
産業空調機器、防排煙機器など様々な製品を扱うクリフ株式会社は、多彩な空間に求められる高度な要求にも応える空気制御のスペシャリスト。
環境保全にも力を入れています。快適な空調環境につながるVAVの製造に力を入れています。
■特徴
- 風量制御ダンパーはダンパ内のオリフィス又はピトー管に発生する差圧を風速・風量に変換し、ダクト内の風量を一定に保ちながら制御
- 差圧方式風速センサーはスタンダードな流速計の一つであり、構造がシンプルで高い信頼性を備えている
- 上向き、下向き、水平、斜めなどあらゆる気流方向に対応できる
■仕様
- ダンパ仕様
- 型式:KVA/KCA 5000シリーズ
- ダンパサイズ:φ100~φ350・150W×150H~1200W×1000H(その他、特型サイズは要相談)
- ダンパ材質:SUS、塩ビ、塗装も各種対応可能
- ダンパ性能:内外高気密仕様
おすすめのVAV4.東プレ株式会社 バブコンVAV空調システム
世界に先駆けて風速センサーを用いたVAVやCAVを開発した東プレ。
省エネにも優れ、耐久性にも定評があり製品の長寿化を実現しています。
■特徴
電子式絞り型(丸型)
- 「プロペラ式風速センサー」を採用
- 多機能な制御を実現するハイブリッドIC回路を使用
- 外部接点によるモード切替が可能(強制給気、自動制御、給気停止)
- 取り付け方向が自由で設置工事が容易
- あらゆるシステムからの信号受けが可能
MSU(Multi Supply Unit)
- 各メーカー汎用ファンコイルの出口側に直接接続が可能
- 手元スイッチ(または接点)で各給気量を4段階に切替可能
- 要求風量に応じてファンコイルのタップを自動制御する省エネルギー設計
- メンテナンスは1箇所で可能(MSU本体部)
- 薄型でコンパクト(ユニット高さは汎用ファンコイルと同等)
おすすめのVAV5.新晃工業株式会社 電子式VAVユニット(STU2)
高度な制御により、快適性、省エネ性、信頼性を実現している空調機器の有名メーカーです。
省エネ機能搭載VAVユニットを製造しています。
ワイヤレスリモコンにも対応し高度な制御で、快適性、省エネ性、信頼性を実現しています。
■特徴
- ギヤヘッド一体にパルスモータとマイコンを搭載したコントロール部を一体化したコンパクト構造
- 風量制御ダンパの駆動軸とギヤのかみ合わせにより取付け容易
- 熱線式(ホットサーミスタ)エアフローセンサによる高い信頼性
- ダンパ駆動用にパルスモータを採用し、熱線式風速センサとマイコンを搭載したコントローラにより、確かな信頼性を実現
- 本体は、鋼板製角形ユニット形状で1枚翼ダンパのシンプルな構造
- 外部信号入力、風速信号出力、親子間連動にも柔軟に対応
- 受信器に内蔵した照度センサにより省エネ制御を実現
■基本仕様
- 電源電圧:AC24V±10% 50/60Hz
- 消費電力:5VA
- 送風温度範囲:0~50℃(結露なきこと)
- 風速範囲:0〜20m/s
- 最大前後差圧:750Pa
- 本体材質:亜鉛鋼板
- 取り付け方向:水平、垂直、斜め(但し、ダンパ軸は水平のこと)
- 風量範囲:85〜5440m3/h
- 風速センサー:熱線式風速センサー(温度補償型)
- ダンパ駆動モーター:パルスモーター
まとめ
現代社会の中でVAVシステムは重要な役割を担っています。
一日に何千人もの人が集まる大型施設の中で適切な空調環境が求められる中、高度な空気制御機器であるVAVのさらなる進化が期待されています。
信頼性の高い製品を見極め、しっかり選定して、快適な空調環境を目指していきましょう。